はなのうらばなし

50歳目前、人生残り半分、書くことを楽しみに生きていくことにしました

押し入れから泥棒が飛び出してきたはなし①

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もう20年以上前

 

20歳過ぎの私と高校生の妹は2人暮らしをしていた

 

古い1DKのマンション

オートロックではなく、誰でも簡単に入れる上に、日中でも周りには人気のないような場所にあった

 

あちこち建て付けも悪く、トイレのドアの閉まりが不十分だったり、ベランダからの排水管が割れているのか洗濯機の排水が滝のように階下に流れたりと

不具合は多かった

 

玄関のドアノブも緩んで、鍵穴は鍵が刺さりにくかったりもした

 

いつもなら帰宅時間がバラバラな私と妹

 

その日は珍しく妹が帰宅した数分後に私が帰宅した

「お!今帰ったとこ?」

「うん」

「これ買ってきた!あートイレ、トイレ!」

私は仕事帰りに買ってきた2人が大好きなお菓子を取り出して、トイレに駆け込んだ

 

トイレから出て、妹と無駄話をしながら夕食の準備に取り掛かろうとした時、妹が押し入れを指差し

「あれなに?」と言った

視力の悪い私は妹が指差した押し入れをジッーと目を凝らして見ると親指大の黒い物が見えた

 

ゴキブリ?

 

更に目を凝らした瞬間、襖が開いて男が飛び出してきた

親指大の黒い物は男が押し入れの中から様子を伺う為に開けた穴だった

 

ストッキングをかぶり、手には包丁を持っていた

 

キャーーーー

悲鳴をあげて玄関まで走り逃げたがあまりに現実的ではない出来事に一瞬

私は、妹の友人がふざけているのかと思い、

妹は、私の友人がふざけているのかと思った

 

しかし、その思いも次の瞬間に違う!と気づく

 

男は自らストッキングを外し顔を晒し、包丁を突きつけて「静かにしろ!」と言った

 

玄関で立ち止まりすぐに外に逃げ出せず

私は「分かった、分かった」と両手の平を男に向けて降参するかのようなポーズを取った

その時、冷静だった妹がカチャリと玄関の鍵を開けた

 

2人して裸足のまま玄関のドアを開けて一気に走り出た

 

マンションの2階から階段を駆け下りながら

「助けてーーー強盗ですーー助けてーー」

と叫び

1番マンションの出入り口に近い部屋の扉をドンドンと叩いて助けを求めたが、その間に男も同じ階段を駆け下りてくるのが見えた

 

私達は道路に走り出て、走ってきた車に助けを求めた

 

〜つづく〜

 

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