はなのうらばなし

50歳目前、人生残り半分、書くことを楽しみに生きていくことにしました

寝たきりばあさんの恐怖

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結婚する前

「結婚しようと思っている」と報告の為に、真冬の寒い日に彼の実家に行った時のはなし

 

彼の実家には両親と寝たきりで介護が必要な祖母が暮らしていた

彼の父も母も温かく迎えてくれ、みんなで食事を囲み「おばあちゃんにも会ってあげて」と言われ、ご挨拶をさせてもらうことになった

 

その当時で既に寝たきりになって8年、その間彼の母が主にお世話をしていると聞き、とても真似できないなと尊敬の念を抱いた

 

「時折身体の向きを変えてあげないといけないの」と彼の両親は2人がかりで祖母の身体の向きを変えてあげ、足元に湯たんぽをあてがってあげていた

 

「自分の意思では手も足も、どこも身体を動かせないけど、目も見えてるし、耳も聞こえてるし、言ってる事は分かってるからね」と嬉しそうに話す両親に感動もした

 

「そろそろご飯も食べるかな」とおもゆに近いような食事をお父さんが口元に運んであげると少し口を開いて舐めるようにして飲み込んでいた

「ほら、見てみ、美味しいのは分かってるから」

私は人間って凄いなーと思った

 

しばらくその部屋で寝たきりのおばあさんを囲んで談笑しそろそろリビングへ行こうとなり、順番に部屋を出た

 

何となく私が一番最後に部屋を出る事になり、ふすまを閉めながら「失礼します」と囁くように言って

、ベットの上でこちらに背中を向けて寝ているおばあさまの方に視線をやると

自分では身体を動かせないはずのおばあさまがぐるんと首を回してこちらをジッと見つめていた

 

しっかりと合ったその目は

何かを伝えるような目

「孫をよろしく」なのか「あなたで大丈夫なの?」なのか

 

私はハッ!としてバクバクしながらリビングへ急いだ

 

誰にも話していない出来事

 

 

それから1年後、私達は結婚し

18年後離婚した

 

 

 

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